●1938.8.30 RKO
●日本公開1939(RKO配給)
キャスト 役名…俳優名
トニー・フラッグ……フレッド・アステア
アマンダ・クーパー……ジンジャー・ロジャース
スティーヴン・アーデン……ラルフ・ベラミー
コーラ……ルエラ・ギア
ジョー・トラバース判事……クラレンス・コルブ
トム・コナーズ……ジャック・カースン
トラック運転手……ジャームズ・P・バーティス
ストーリー
スティーヴンは、恋人のアマンダが、まったく自分と結婚する気にならないために、友人の精神分析医トニーに相談を持ち掛ける。
頼まれたトニーが、アマンダの人となりを知ろうと彼女に会うと、彼女はトニーに恋してしまう。
アマンダに気持ちを打ち明けられたトニーは、自分もアマンダに好意を感じているのに、スティーヴンを裏切ることができず、アマンダに「スティヴンを愛してる。トニーを憎んでいる」と思うように催眠術をかける。
催眠術によってアマンダに嫌われたトニーは、抑えつけた彼女への好意を忘れようとするが、鏡の中に現れた「自分の深層心理」に諭され、アマンダを再度自分に振り向かせようとする。
催眠術を解くには、再度アマンダを催眠状態にしなければならない。しかし、それをスティーヴンに邪魔されて、機会が作ないでいるうちに、アマンダとスティーブンの仲は婚約から結婚へと進んでいく。
ついに、スティーヴンとアマンダの結婚式当日になってしまい、もはやここしか決行する機会はないと思ったトニーは結婚式場に忍び込み、催眠術を手っ取り早く解く方法として、アマンダを一発ぶん殴ろうとする。しかし、アマンダの美しい顔を見て、
「だめだ、殴れない」
と拳を下ろしてしまう。
そこへ、トニーの侵入を知ったスティーヴンが飛び込んで来て、トニーを殴ろうとし、誤ってアマンダにパンチ! 我に返ったアマンダは、トニーと腕を組んで結婚式に臨む。
ミュージカル・ナンバー (★はアステアのナンバー)
Since They Turned Loch Lomond Into Swing★
The Night Is Filled with Music
I Used to Be Color Blind★
The Yam★
Change Partners★
その他情報
- 「Since They Turned Loch Lomond Into Swing」では、アステアのハーモニカ演奏が楽しめる。さすが、ボードヴィリアン出身の芸達者ぶりである
- 本作は、一部のダンスシーン(多分、I Used to Be Color Blindの幻想のシーン)にカラーを使う計画があったが、残念ながらかなわなかった
- 本作には、アステア&ロジャース初のキスシーンがある。「気儘時代」以前の作品では、手にキスするようなことはあっても、唇にキスはなかった。これは、アステアの妻、フィリスが、夫のキスシーンを嫌ったためというのが定説である。が、アステアは自伝でこのことを否定している
- 初キッスシーンは、スローモーションでなが~いキスをするのだが(「I Used to Be Color Blind」のラスト)、現代人の目から見ると、美やロマンは感じても、あまりエロスを感じるような映像ではない。しかし、興行的には、キスはいい宣伝になったらしい。ちなみに、キスを提案したのは、アステア本人である
- ゴルフボールを打ちながらのダンスは、アステア自身のお気に入りである。確か、エド・サリバン・ショーでも披露していた
- 「The Yam」は、アステアが歌詞を気に入らず、歌唱を拒否したという噂がある。(だから、ジンジャーのソロなのだ、という論法である)しかし、アステアの歌う「The Yam」を収録したCDは存在するので、私は「違うんじゃないかなあ」と思っている
- 本作には、カットされた「フラッグ先生の精神分析シーン」がある。患者役は、エキストラ級の女優、グレイス・ヘイル。グレイスにとっては、たった一度のアステア映画出演のチャンスであった
- 1938年第11回アカデミー賞:作曲・編曲賞にノミネート、歌曲賞にノミネート、室内装飾賞ノミネート
- 「Change Partners」は、アカデミー主題歌賞部門の候補作となった
- 本作は、最終的に68000ドルの赤字となった。アステア&ロジャース映画の、初赤字であった
スタッフ
製作……パンドロ・S・バーマン
監督……マーク・サンドリッチ
助監督……アーガイル・ネルソン
原案……マリアン・エインスリー、ガイ・エンドール
原作……ダドリー・ニコルズ、ヘイガー・ワイルド
脚本……アラン・スコット、アーネスト・パガーノ
撮影……ロバート・デ・グラス
特殊撮影……ヴァーノン・ウォーカー
音楽……ヴィクター・バラヴォール
歌曲……アーヴィング・バーリン
振り付け……ハーミズ・パン