●1933.12.20 RKO
●日本公開1934(RKO配給)
キャスト 役名…俳優名
フレッド・アイレス……フレッド・アステア
ベリーニャ・レゼンデ……ドロレス・デル・リオ
ロジャー・ボンド……ジーン・レイモンド
ジュリオ……ラウル・ロウリン
ハニー……ジンジャー・ロジャース
エレナ・レゼンデ……ブランシュ・フィデリチ
市長……ポール・ポルカシ
ホテル支配人(リオのではなく、マイアミのホテルの支配人)……エリック・ブロア
キャリオカ歌手……エタ・モーテン
ベリーニャの女友達……ベティ・ファーネス
ヤンキー・クリッパー(バンド)のメンバー……ジャック・ライス、レイ・クック(バンジョー奏者)
ストーリー
ジャズ・バンドのリーダー、ロジャーは、クラブで出あったラテン系の美人ベリーニャに一目ぼれするも、遊び人と思われ、本気にしてもらえない。
その後、ロジャーは、リオ・デ・ジャネイロのホテルのオープン興行の仕事を引き受け、バンドはリオに飛ぶ。(フレッドとハニーはバンドのメンバー)
リオについてみると、ロジャーを呼んだホテルの持ち主は、偶然にも(この時代のミュージカルはこうでないと!)ベリーニャの父で、ホテルのオープンが目前であるのに、興行開催の許可が下りず、困っている。
バンドの一同は、
「ホテルの中でレビューを開催できないなら、ホテルの上空でやろう」
とのアイデアを出し、ダンサーを飛行機にくくりつけて、空中レビューを決行する。
ベリーニャは、ロジャーを愛し始めるが、子供の頃から決められた婚約者(ジュリオ)がいて、ロジャーの愛を受け入れることができない。しかし、ベリーニャとロジャーが真剣に愛し合っていることを悟ったジュリオは身を引き、二人を結婚させる。
アステアの役は、バンドの副リーダー格で、アコーディオンを弾き、指揮もすればダンスも踊る。メンバーをまとめるのも、どうやらフレッドの役目らしい。
この作品でフレッドとジンジャーが踊ったキャリオカが爆発的な人気を呼び、アステア&ロジャースコンビ作品が、連続して製作されることとなった。
この作品では、アステアとジンジャーはまだ主役ではなく、あくまでもジーン・レイモンドとドロレス・デル・リオが主役。作中でのフレッドとジンジャーの関係は、恋人の気配はなく、単なる仲間のようだ。
ミュージカル・ナンバー (★はアステアのナンバー)
- Music Makes Me
- The Carioca★
- Orchids In the Moonlight★
- Flying Down to Rio★
その他情報
- アステアは、プロデューサーに「自分のダンスは1曲で十分」と申し入れていた。「それ以上は、観客を退屈させる」というのが理由だったそうである(なぜそんな馬鹿な幻想を持ったのか、まったく分からないよフレッド!)しかし、本作で、アステアは3曲のダンスを踊る
- 3作のダンスは、アステア本人によれば、「ダンスらしきものはそんなに見せていない」のだそうだ(何を言ってるんだフレッド!)アステアからすると、本作のダンスはいずれも「急ごしらえのもの」だそうな
- この映画から、ヅラ装着の歴史も始まる
- 相手役がジンジャーだと知り、デートしたことのあったアステアは喜んだ
- アステアは、「フレッド・アイレス」という、微妙に本人を引きずる役名となっている
- 企画当初では、アステア主役の予定だったものが、セルズニックが社を出たために、アステア準主役に変わったと言われている
- アステアの振り付けを、ハーミズ・パンが初めて担当。この後、アステアとパンのコンビで多数のダンスを生み出すことになる
- ラッシュを見たアステアは、キャリオカのダンスシーンを「ひどすぎる」と思い(何がひどいんだフレッド!)取り直しを要求したが、RKOは財政難で、にべもなく却下された
- 自分の映りがひどいと思ったアステアは、撮影終了後、「もう戻ってこないと思う」と、RKOにわかれのメモを残した
- アステアは、本作の撮影後、ロンドン公演に発ってしまい、劇場封切りのときにはアメリカにいなかった。RKOが、なかなか公開状況を知らせてこなかったことも手伝って、てっきり失敗したと思い込んでいたらしい
- この作品のジンジャーは、完全な「馬鹿っぽい女」を演じている。この時代のミュージカル・コメディで、主役で無い女性など、こんなものなのだろうか
- 本作は、アカデミー賞主題歌賞にノミネートされた
- アステアのギャラは、週1500ドル
- ナチスの規制により、西ドイツでは公開禁止となった(理由は、「軽薄すぎる」だそうな)
スタッフ
制作総指揮……メリアン・C・クーパー
製作……ルウ・ブロック
監督……ソーントン・フリーランド
脚本……シリル・ヒューム、アーウィン・ゲルシー、H・W・ヘーンマン
撮影……J・ロイ・ハント
特殊撮影……ヴァーノン・ウォーカー
美術……ヴァン・ネスト・ポルグラス、キャロル・クラーク
振り付け……デイヴ・グールド、ハーミズ・パン
歌曲……ヴィンセント・ユーマンス、エドワード・エリスキュ、ガス・カーン
メイク……メル・バーンズ
サウンド編集……ジョージ・マーシュ
スチール……ジョン・ミール
衣裳……アイリーン