大抵の人には、「利き手」というものがある。例えば、私は右利きである。
しかし、稀に、「どっちも利く」という人もいる。例えば、私の兄貴がそれで、いわゆる「両手利き」である。
アステアは、映画を見る限りでは右利きである。
昔は、「左利き」が「あまりよろしくない」として嫌われ、一見右利きに見えても、実は左利きを矯正した人というのも結構いるはずだが(「イースター・パレード」のハナーは、子供の頃に「左利きは犯罪者になる」と言われ、無理やり矯正された、という設定である)、アステアがそれであるとは聞いたことが無いので、おそらく生まれつきの右利きであると思われる。
「利き手」よりも、問題にされることが少ないが、足にも「利き足」というものがある。例えば、私は右足利きである。
利き足を調べる方法は、ごく簡単で、「サッカーボールか何か、蹴る真似をしてごらん」と言われたときに、無意識に出るほうの足が利き足である。
統計的に、利き手と利き足は、同じ側であることがほとんどだそうである。ゆえに、アステアが右利きだとすれば、足も右足利きな可能性が高い。
私は、右足利きなので、空手のキックなどするときは、左足を軸足にして、右足で蹴りにいく。アステアのダンスも、「どっちを軸にして、どっちで蹴っているか」で、利き足が分からないものかと思い、アステアの作品を見るときに、「利き足チェック」をしてみたことがある。
その結果は、
- 「青空に踊る」……バーのグラスをめちゃくちゃに蹴り飛ばして踊るシーンでは、メインのキックは右足のようだ。ただし、右オンリーではなく、左キックも混ざる。ちなみに、一番最初に、低いテーブルのグラスを蹴るのは左足である。「青空に」では、アステアお得意の「帽子を蹴り上げて取る」シーンもあるが、このときも、右足で蹴り上げている
- 「レッツ・ダンス」……ベティ・ハットンのお尻を蹴るダンスでは、右足と左足を、ほぼ均等に使って蹴っている
- イースター・パレード……ドラム・クレージーを踊るアステアは、何度もドラムを蹴るが、やや右足を多く使っている
- 「バンド・ワゴン」……レコードを、足で踏み割るシーンでは、主に右足を使って割っている
- 「足ながおじさん」……夜のNYに繰り出すシーンで、得意の「帽子を足で蹴り上げて取る」を披露しているが、右足で蹴り上げている。しかし、その直後のドアを足で蹴って開けるシーンは、左キックである
(※すべてのアステア映画をチェックしたわけではありません)
以上の結果と、実際にダンスを見た印象を総合すると、「基本的には右足利きだが、天性の器用さと、ダンスの訓練の賜物で、限りなく両足利きに近い状態になっている」と、私には見える。
(※私はダンサーではないので、あくまでも「私の感触」です)
ところで、スポーツマンの友人に教えてもらったのだが、動くことを商売にしている人は、「利き目」も大事なのだそうだ。アステアの利き目はどっちだったのだろうか?