アメリカのダンサー、女優。(1933.10.20~ 米NY生)
父親は脚本家だった。
アステアの最後のダンス・パートナー。アステアのTVシリーズでパートナーをつとめた。
長い足の脚線美と、柔軟性に富んだダンスが魅力的。
ケイ・ケンドールのダンス・インとしてスタジオに入っていたバリーを、アステアが気に入って抜擢したもの。(大抜擢である)
アステアは、彼のTVシリーズが実現したのは、「バリーあってこそだ」と発言している。よって、バリーをかなり高く評価していたのである。シドや、ヴェラを見てしまったアステア・ファンとしては、
「圧倒的にうまいというわけではないよね」
という感想を持たないでもないが、結果としてできた映像を見ると、なるほどこの二人だけの空気感があり、余裕すら感じさせるコンビになっている。
そもそも、アステアがバリーに注目した時点では、バリーはまったく無名のダンサーであった。「足ながおじさん」と「絹の靴下」で、さりげなく共演していたりするが、二作ともバリーは役名の無いダンサーの一人である。
ゴマンといる無名のダンサーの中で、バリーだけがアステアの目を惹いたということは、何かが響きあう二人であったのだろう。
バリーのしなやかなダンスは、アステアが映画で共演してきた女性ダンサーたちには無いタイプのダンスである。しかし、バリーのちょっと気の強そうな顔と、若い女が年上の男性を見上げながらも対等である感じは、アステア&ロジャースをかすかに彷彿させるように思う。
バリーは、アステアファンにさえ、「TVシリーズのために、アステアが探してきたダンサー」だと思われていることが多いが、実はTVの企画が持ち上がる前から、アステアが才能を見込んだダンサーであった。
彼女にスタジオで声をかけ、ディナー・デートを重ね(恋人同士の空気ではなかったらしい)、「絹の靴下」に出演させたりしながら、やがて来るかもしれない「新パートナーが必要なとき」を待っていたようだ。
フレッドの言葉どおり、もしも彼がバリーを見出さなかったなら、本当にTVシリーズは無かったのかもしれない。だとすれば、ファンはバリーに感謝の言葉を捧げねばなるまい。