「空中レビュー時代」(Flying Down to Rio 1933)のために作られた楽曲。日本では、江利チエミがレパートリーにしていた。
作曲:ヴィンセント・ユーマンス
作詞:エドワード・エリスキュ、ガス・カーン
アステアのレコードなどには、アステア自身の歌う「キャリオカ」が収録されているものもあるが、映画の中では、アステアがこの曲を歌うシーンはなく、踊るシーンのみである。
情熱のラテン音楽「キャリオカ」が流れるクラブで、フレッド(アステアの役。ほとんど自役?)はハニー(ジンジャー・ロジャース)に「この曲で踊りたい」と言い、二人でフロアの真ん中に出て行く。
二人は、互いに額をくっつけて踊るのだが、これがアステア&ロジャースが主役を食って一躍注目を浴びることになった伝説のダンス。
アメリカ各地の映画館で「空中レビュー時代」が公開されたときには、キャリオカのシーンになるたびに、観客が声援をやめず、上映続行が困難になったという。(さすがショーストッパー=アステア!)
アステアは、ダンス中の視線にうるさい人だったので、キャリオカを踊る二人は、額をあわせたちかーい距離で、それはそれは楽しそうに見詰め合って踊る。
このダンス、技術と独創性の高さが、ど素人にも一目瞭然なほどすぐれており、ダンスの専門家のみならず、ミュージカル好きな大衆にとっても、ほとんど爆弾級の衝撃だったらしい。
アステアとロジャースは「キャリオカのキング&クイーン」と呼ばれ、ここからアステア&ロジャースの黄金時代が始まる。
しかし、アステア自身は、キャリオカのダンスに満足していなかった。ラッシュを見て「ひどすぎる」と感じた(どこがひどいんだろう?)アステアは、取り直し要求を出し、それが容れられないと分かると、自分の出演は失敗だったと思い込んだ。
二度と映画に呼ばれることもないと思ったアステアは、撮影終了後、RKOに分かれの挨拶まわりまでしたという。