フレッド・アステアの父親。ウィーンの、代々醸造業を営む家に生まれた。
優しく、明るく、社交的な人柄で、フレッドとアデールにとってもやさしい父親だった。
1895年に、祖国オーストリアから、アメリカはオマハに移住した。（移住を決断した理由は、家族間のもめごとだという説があるが、定かではない）
アメリカで、最初に就いた職は皮革商だったが、性に会わず、後に醸造会社の営業マンに転職。営業の仕事の方が、外交的なフレデリックの性格に合っていたらしい。
営業マン時代に、フレッドの母、アン・ゲリアスと出会い、結婚。当初、アンとの結婚は、アンの両親になかなか認められなかったらしい（年の差を懸念したらしい）。しかし、二人は思いを貫き、1894.11.17に結婚した。
自身ピアノをたしなみ、エンターテインメントに触れることを楽しむ人だった。
ダンサーとして有名になった二人の子供たちは、彼の誇りだった。
アステア姉弟のダンサーの仕事を成功させたのは、彼の妻アンの手柄と言われることが多く、フレデリックは西部でお金を稼いで後方支援だけしていた印象があるが、彼はコミュニケーション能力に優れた人で、なんとオーフィウムとの契約をまとめたのは彼の功績なのである。東部の妻子のもとを訪ねるたびに、エンタメ業界人たちと交友関係を作り、ブロードウエイに人脈を構築していた。子供たちの成功は、夫婦二人の能力があってこそ、早くの開花を見たのである。
西部での自身の仕事としては、いくつか事業を起こすことを試みたが、いずれも成功しないまま、癌で亡くなった。最後の数年だけは、東部の家族とともに過ごし、子供たちを近くで見守ることができた。
フレデリックと息子のフレッドは、外見的にはほぼそっくり。フレデリックの兄のエルネストもよく似ていて、三人並んで写真を撮ったらさぞ面白かっただろう。