映画評論家。(1909.4.10~1996.11.11 兵庫県生)
「映画世界」編集者、UIP日本支社、東宝の宣伝部、「映画の友」の編集長を経て評論家となった。
日曜洋画劇場の「サヨナラおじさん」として有名。「日本に洋画が定着したのは、吹き替えと淀川長治のおかげだ」と言われる映画の伝道師。
淀長さんは、チャップリン好き、モンロー好きで知られるが、もちろんアステアも大好きだった。ただし、あまり激しいマシンガン・タップよりも、スローで優雅なダンスが好きだったという。
ある、アステア映画の試写会の席で、アステアがあまりに優雅に踊るので、見ていた淀長さんは辛抱たまらなくなり、通路に出て自分も踊りだした。後で、散々からかわれたそうである。
淀長さんは、「映画の友」の編集長時代に、来日したアステアに取材で会っている。淀長さんは、アステアに「記念に足型を取らせて」とおねだりした。すると、アステアはすぐさま靴を脱ごうとしたので、淀長さんは恐縮し、「靴のままでいです!」と言って、紙の上に、アステアの靴の形をなぞって、足型を取った。このときのことを、淀長さんは、「アステアさん、いい人ですね」と語っている。
取材が終り、帰るときになって、アステアは、足先に帽子をのせ、そのまま帽子を空中に蹴り上げて、頭にスポンと被った。完全に余裕の有る「1テイクOK」だったそうである。