もしも、アステアが映画界入りしなかったら

Fred Astaire (Icons of America)

もしも、アステアが映画界入りしていなかったら、どうなっていたか。

多分、ブロードウエイに君臨し続けたことだろう。最初の奥さんのフィリスとの家庭を、ハリウッドじゃなくて東部に持ち、斬新な舞台のダンスを創作し続けたと思う。しかし、収入は、ハリウッドスターよりも大分少なかったかもしれない(それでも、十分に名士であったろう)。
そして、引退は、やや早かったかもしれない。

イギリス公演にも、定期的に行ったんじゃないかな。ラジオのMCは、やらなかった可能性の方が高そうだ。テレビには、出演した可能性の方が高いと思う。レコードの発売は、アステア単体のものはずっと少なかったと思う。そして、21世紀に日本で入手できるアステアのCDは、ごくわずかだったと思う。

そして、日本の映画ファンは、アステアの名を知らない人がほとんどだったろう。
それでも、「神ダンサー」ではあったはずだから、マニアックなミュージカル映画ファンの耳には、必ずやアステアの名が聞こえてきたはずである。そして、「本当のすごいダンサーは、やっぱりブロードウエイに行かないと見られないんだ。舞台には、ジーン・ケリーより上がいるんだ」とか言われていたはずである。

私個人のことを考えると、多分こんなことになるんじゃなかろうか。
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水野さんの本のブロードウエイの文かなにかで、アステアというすごい人がいるらしいと知る」

ジーンとか、ヌレエフとか、ロビンスのインタビュー記事で更にアステアの凄さを確認」

「アステア見たいなあと思うが、どこで見られるかも分からないまま時がすぎる」

「『ザッツ・ダンシング』(絶対紹介されるだろう!)でわずかに紹介されたフィルムに狂喜する」

「なぜ映画畑に来なかったのかと、ミュージカル映画ファンたちと嘆きあう」

「21世紀になり、『夜も昼もジーン』もしくは『夜も昼もエレノア』もしくは『夜も昼もシド』みたいなブログを作り、アステアっていう人と躍って欲しかったな……という文など書いているだろう」

どっちにしろ、「アステアなる人に憧れる人生」ではあったと思われる。そういう意味では今と変わらないが、数々のダンスを見られるのと見られないのでは、幸福度がぜんぜん違う。本当に、フレッドがフィルムに残る世界の人であってくれてよかった。
フレッドありがとう。幸せです。

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